第43章 退屈しのぎ

南坂海乃の重たかった気分は、鬼ですら眉をひそめそうな大声ひとつで、半分以上ふっと散ってしまった。

海乃は困ったように笑い、ハイヒールを脱ぎ捨てる。

「で、これって……凛の思いつき? それとも颯汰の指示?」

「もー、細かいこと気にしない気にしない!」野口凛は馴れ馴れしく海乃の腕に絡み、そのまま寝室へずるずる引っ張っていく。「とにかく今夜は姉さんに決めたの。お兄ちゃんのとこ、堅物すぎて退屈なんだもん。話し相手もいないしさ。やっぱ姉さんの部屋がいちばん落ち着く~」

その夜、海乃は眠れないだろうと思っていた。

けれど隣に小さな火鉢みたいな凛が転がっていて、海外の料理にぶつぶつ文句を言ったり...

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